金沢医科大学 2017年卒
初期研修修了後に金沢大学附属病院 腫瘍内科に入局して臨床に従事してから、様々な患者さんの診療に携わってきました。
患者さんの人生は「がん」と診断された瞬間から大きく変わってしまいます。
これからの人生をどのように過ごすのか、残された時間は長いのか短いのか、どのような治療がこれから待っているのか、など様々な思いが巡り大きな不安や孤独を感じ、その影響は家族にも波及します。腫瘍内科医の仕事は、「化学療法」に焦点が当てられがちですが、様々な不安を抱えた患者さんや家族の人生を「化学療法」という手段を使って支えることだと思っています。
そもそも、私自身が腫瘍内科医を知ったのは大学5年生の臨床実習でした。
ドラマで見る救急医や外科医に憧れはありましたが、緊迫した場面での冷静な判断に自信がなかったため、内科医になろうと漠然と思っていました。そんな中で、日進月歩に変化していく化学療法を、緊迫した場面ではなく、患者さんの想いを聞きながら、それぞれにあった治療を提案する腫瘍内科医に魅力を感じ、この道に進むことを決意しました。
次々と新しい抗がん剤が出てくる中で、ほとんどの「がん種」には標準治療という、この治療を行うのがよいと推奨されている治療方法があります。腫瘍内科医にとって、この標準治療を適切に行う能力が最も大切です。
しかし、患者さんの全身状態や年齢、仕事、生活環境などが要因となり、標準治療を行うのが必ずしも正解ではない患者さんが複数いらっしゃいます。そのような場合には、患者さんや家族の大切にしている想いに極力沿えるよう、他の腫瘍内科医、看護師や薬剤師の意見を集約して治療方法を検討します。
あくまでも、治療選択の際の一例ですが、患者さんの人生に焦点を当てて、患者さんを含めた複数の人と人のつながりの中で行うがん治療を、中心的な役割となりコーディネートするのが腫瘍内科の魅力だと感じています。

<これから腫瘍内科を目指す君へ>
腫瘍内科は上述のように、がんという病気を診ることを通して、患者さんとその家族の人生を支える診療科です。現在の日本では、必要としている患者さんの数に比して、腫瘍内科医の数が足りていません。
一方で、臨床腫瘍学会主催の「学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」では参加希望者が多く、間違いなく注目が集まっている診療科です。
当科では、希望に応じて臨床も研究も行える環境があります。是非、僕らと一緒に腫瘍内科の未来を創りましょう。