私たちはがんの分子・生物学的基礎研究を基盤とし、理工学や薬学などの異分野研究者との協力を通じて、革新的な抗がん医薬の開発に取り組んでいます。その軸としているのが、がんの標的分子を特異的に発現抑制する抗がんsiRNA医薬の開発です。
この分野では、配列設計やドラッグデリバリーシステムなど多くの課題がありましたが、共同研究を通じてこれらを克服し、First in Humanの治験に繋げました。また、複数の標的分子を同時に抑制可能な革新的なマルチターゲット型siRNA医薬の開発にも着手しています。さらに、幅広いがん種で課題となっている薬剤耐性機序の解明や、KRAS変異がんに対する新しい治療法の開発を行い、前任の矢野聖二教授の研究を継承しています。同時に、CAR-Tなどの先進的な免疫細胞療法や、分子間相互作用を基盤とする低・中分子スクリーニング系の構築など、次世代治療法の開発へと拡大しています。
これらの研究は、基礎研究で得られた知見を患者さんに迅速に還元するトランスレーショナルリサーチを中心に展開しており、医師と基礎研究者が一体となって、がん克服に向けた包括的なアプローチを実践しています。