教室について

教授からのメッセージ 2010年4月

教授ご挨拶

私が金沢大学に赴任して3年が経過しました。
この間、附属病院における臨床面では2009年5月に新外来棟がオープンしすばらしい環境で全ての診療が行うことができるようになりました。また、がん高度先進治療センターの東病棟10階における担当病床数も10床から15床に増え、肺がん・膵がん・原発不明がん症例を中心に徐々に診療実績を積み重ねていっております。がん研究所腫瘍内科としての研究面では、肺がんの分子標的薬であるイレッサやタルセバの耐性を肝細胞増殖因子(HGF)が誘導することを発見し、その成果は世界的に注目されるようになってまいりました。
石川県の都道府県がん診療連携拠点病院(厚生労働省指定)としての整備や北陸がんプロフェッショナル養成プラン(文部科学省)においても、がんを専門とする医療人の養成や病院機能の強化を目指して貢献してまいりました。その結果、金沢大学附属病院が2010年2月に石川県の都道府県がん診療連携拠点病院としての指定が更新されたことは、われわれにとって大きな喜びです。
 現在国策として「がん診療連携拠点病院事業」や「がんプロフェッショナル養成プラン」が展開されている背景には、わが国におけるがん医療水準の地域格差の問題があります。それを解消するための一翼を担うことができるのが腫瘍内科医です。腫瘍内科医は、臓器横断的な視点で患者を診て、複数臓器のがん種をマネージできる内科医です。近年急速に進歩してきている分子標的治療薬も臓器別というよりは標的別(臓器横断的)に有効性を発揮する薬剤であり、副作用も全身どの臓器にも発生する可能性があり、熟練した腫瘍内科医による使用が世界的に望まれています。われわれの教室では、腫瘍を臓器横断的な視点で診ることのできることはもちろんのこと、患者さんとコミュニケーションを上手にとることができる人間味あふれる腫瘍内科医を養成・教育することを目標に掲げています。また、日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医の取得を目指しており、すでに2名の教室員が取得し、他科から研修受入れをした1名も見事合格し専門医を取得しています。
 一方では、腫瘍内科医といえども誰にも負けないと自負できる専門領域を持つ必要性がありますので、そのために臨床に直結したトランスレーショナルリサーチを行うことを推奨しています。現在4名の外国人研究者を受入れており、多国語が飛び交うインターナショナルな活気に満ちた環境で研究を行っています。肺がんや中皮腫の研究において、世界の最先端を走り続けることができるよう、教室員が総力を上げて日夜研究に取り組んでいます。
 みなさんも、がん高度先進治療センター/腫瘍内科で臨床に研究に全力投球してみませんか?

2010年4月1日


→ごあいさつ2007年7月