教室について

教授からのメッセージ


私が澤武先生の後を引き継ぎ、6年目を迎えました。診療、研究、教育、がん拠点病院の運営を4本柱に掲げ活動してまいりましたが、まずはこれまで教室を支えてきてくれた皆様に心よりお礼を申し上げます。5年一区切りと申しますが、この5年間で教室の基礎がなんとか整えられたと感じております。当初は5名であった人員は、腫瘍外科との統合や毎年新しい入局者を迎えることで、2012年6月現在で医師11名(うち大学院生3名)、特任助手1名、博士研究員1名、社会人大学院生2名、外国人留学生1名、事務補佐員2名に増えました。北陸地方のみならず全国から当教室を希望して集まってきてくれていることを非常にうれしく思っています。
がん進展制御研究所の教室として、先端的な研究をおこなうことは必須の命題です。「肺がんの分子標的治療薬は劇的な効果をしめすのになぜ再発するのか?」その単純な臨床的疑問に答えるべく研究をおこない、HGFなどのリガンドがバイパス生存シグナルを入れることによってがん細胞の分子標的薬耐性を誘導することを世界で初めて明らかにしました。さらに、耐性を解除する治療法やリガンド刺激が原因となっている耐性を診断する方法を開発すべく、日夜研究をおこなっています。
診療面では、新外来棟で毎日2診外来診察を担当しておりますし、東病棟10階の入院病床も10床から15床に増えました。常時20名前後のがん患者さんが入院しており、肺がん、膵がん、原発不明がんを中心としたがん患者さんの診断や治療を行っています。当教室の診療スタッフは、全国から集まった呼吸器内科医、消化器内科医、消化器外科医からなるという特徴を生かし、専門臓器が偏らないように2つの病棟グループに分け、臓器の壁のない屋根瓦方式による診療をおこなうようにました。また、日本臨床腫瘍学会が認定するがん薬物療法専門医を5名が取得しています(2012年6月現在)。5年前には教室のがん薬物療法専門医はゼロで、その取得を目標の一つに掲げていただけに、当教室で専門医が徐々に増えていることは大変喜ばしい実績だと感じています。このようなスタッフが、最新鋭の気管支内視鏡や消化器内視鏡を用いた検査をおこなったり、他の病院や診療科で「もう治療がない」といわれた進行期のがん患者さんに対しても、治療法を模索して粘り強い治療をおこなっています。終末期のがん患者さんが少なくないことも私たちの病棟の特徴のひとつですが、一人の患者さんの診断から治療、そして終末期医療に携わることで「本当の緩和ケア」は学べると信じておりますし、すべての医療従事者の教育に重要と考えています。
これまでの5年間で我々の目指す腫瘍内科像がみえてまいりました。それはトランスレーショナルリサーチ型腫瘍内科です。標準的がん薬物療法をおこなう腫瘍内科、臨床試験を数多くこなす腫瘍内科、現在急増中の腫瘍内科教室のスタイルはさまざまで、それぞれに重要なスタイルです。われわれは標準的治療を提供するのはもちろんですが、これからの5年間をセカンドステージと位置づけ、研究成果を患者さんに還元すべく、一人ひとりの患者さんを大切にして最新の耐性診断法に基づいた耐性克服治療を展開してまいりたいと思います。当教室では6名が外部資金である科学研究費を獲得しており、高いモチベーションを保ちながら診療と研究を両立しています。トランスレーショナル型腫瘍内科を目指す全国の若い医師・研究者が私たちの教室の門をたたいてくれることを期待しています。


→ごあいさつ2010年4月1日
→ごあいさつ2007年7月