PEOPLE-J/VICTORY-J
PEOPLE-J
PEOPLE-J: Project for Elucidating Characteristics of BIM Polymorphism Positive EGFR Mutant Lung Cancer – JAPAN
<対象者情報>
過去に上記の研究に参加され、BIM遺伝子多型の検査を受けられた方を対象に追加の解析を行っております。2017年1月31日までに上記の研究への参加に同意され、血液を採取し、検査を受けられた方に追加で実施される遺伝子解析研究の詳細をお知らせするために、院内及びウェブサイト上でお知らせしています。なお、この研究は金沢大学医学倫理審査委員会の審査を受け、金沢大学医薬保健研究域長の承認を得て行っているものです。
<研究の背景>
BIMは、細胞死を促進する蛋白質で、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬がEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん細胞に細胞死をおこして効果を示すために必須と考えられており、がん細胞においてBIM発現が低下するとゲフィチニブ(イレッサ®)、エルロチニブ(タルセバ®)やアファチニブ(ジオトリフ®)が効きにくいことが報告されています。2012年には、東アジア人に特異的なBIM遺伝子の一部が欠けているタイプ(以下、BIM遺伝子欠失多型)が発見されました。このBIM遺伝子欠失多型を持つ人は、白人では認められないのに対し、日本人を含む東アジア人では12.9%にみられ、BIM遺伝子の一部が欠けていない人(BIM遺伝子野生型)に比べると、細胞死を誘導するBIM蛋白質の発現が低下しており、ゲフィチニブ(イレッサ®)やエルロチニブ(タルセバ®)による治療効果の持続期間が短く、効きにくくなる因子であることが報告されました。さらに、金沢大学がん進展制御研究所腫瘍内科における検討では、このBIM遺伝子欠失多型を有するとアファチニブ(ジオトリフ®)の効果も減弱することが明らかになりました。また、最近になってこの欠失多型以外のタイプのBIM遺伝子の多型が、がんに対するチロシンキナーゼ阻害薬の治療効果に影響することが報告されました。
われわれのグループは、ボリノスタット(ゾリンザ®)というお薬がゲフィチニブ(イレッサ®)やエルロチニブ(タルセバ®)が効きにくくなる因子であることが報告されたBIM遺伝子欠失多型を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん細胞において、細胞死を促進するBIM蛋白質の発現を上昇させ、ゲフィチニブ(イレッサ®)と併用することで細胞死を誘導することを、がん細胞やマウスを使った実験で明らかにしました。なお、ボリノスタット(ゾリンザ®)は、日本において皮膚T細胞リンパ腫の治療薬として認可されておりますが、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの方への有効性は証明されておりません。そこで、我々は、BIM遺伝子欠失多型を有するEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者さんを対象に、標準的な治療が終わった後の治療として、ボリノスタット (ゾリンザ®)+ ゲフィチニブ(イレッサ®)併用治療の臨床試験(医師主導治験:VICTORY-J)を実施しています。
<研究の意義と目的について>
2017年1月31日までに本研究に参加頂いた方は既知のBIM遺伝子欠失多型とEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの関係について解析することに同意を頂き、血液を採取し、遺伝子検査を行いました。しかし、既知のBIM遺伝子欠失多型以外のタイプのBIM遺伝子の多型も測定することで、BIM遺伝子多型とEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの関係についてより詳細に明らかにできると考え、研究計画を改訂しました。
<研究機関ならびに追加解析の対象>
金沢大学附属病院を含む全国の23施設が参加しています。
2017年1月31日までに本研究に同意され、血液を採取し、BIM遺伝子多型検査を受けられた患者さん全員が対象です。
<研究の方法>
本研究ではこれまでにBIM遺伝子欠失多型を測定し、金沢大学で保管している残余DNA検体から、BIM遺伝子に存在するその他の多型を測定します。本研究によって新たな受診や検査などが必要になることはありません。
<個人情報保護への配慮>
本研究で用いられる資料では個人情報は匿名化され、個人が特定されることはありません。また、個人が特定されるような情報は一切公表されません。この研究に参加するかどうかは患者様の自由であり、たとえ研究への参加を拒否された場合でも不利益を受けることは一切ありません。上記の研究対象に該当する患者様で、ご自身の検体をBIM遺伝子多型の追加解析に使わないで欲しいというご希望やご質問があれば、2017年12月31日までに下記の窓口までご連絡ください。
<研究参加に伴う費用について>
本研究は保管された試料(血液から抽出したDNA)を用いて実施いたします。そのため患者様に新たな費用が生じることはありません。
なお、この研究への協力に対しての報酬はありません。
<解析結果の開示について>
今回の研究計画改訂によって追加で解析されるBIM遺伝子の多型が陽性であっても、ボリノスタット (ゾリンザ®)+ ゲフィチニブ(イレッサ®)併用治療の臨床試験に参加することはできませんので、追加解析で得られた結果については、患者様に開示することは原則ありません。
<知的財産権について>
本研究により知的財産権が発生した場合も試料を提供した方に知的財産権は発生しません。
<研究組織、研究責任者および研究分担者>
研究責任者名:矢野 聖二 (腫瘍内科・教授)
主研究機関名:金沢大学がん進展制御研究所
金沢大学附属病院がんセンター
連絡先 076-265-2794
共同研究機関:
東京大学大学院医学系研究科 責任者 間野 博行(細胞情報学分野・教授)
埼玉医科大学 責任者 太田 洋充(呼吸器内科・講師)
名古屋大学 責任者 長谷川 好規(呼吸器内科・教授)
静岡県立静岡がんセンター 責任者 高橋 利明(呼吸器内科・部長)
東北大学 責任者 井上 彰(緩和医療学分野・教授)
徳島大学 責任者 西岡 安彦(呼吸器・膠原病内科・教授)
先端医療センター病院 責任者 片上 信之(総合腫瘍科・副院長)
兵庫県立がんセンター 責任者 里内 美弥子(呼吸器内科・部長)
名古屋医療センター 責任者 小暮 啓人(呼吸器科)
福井大学 責任者 石塚 全(内科学3・教授)
石川県立中央病院 責任者 西 耕一 (呼吸器内科・科長)
公立陶生病院 責任者 木村 智樹 (呼吸器・アレルギー疾患内科・部長)
JCHO北海道病院 責任者 原田 敏之 (呼吸器内科・部長)
大曲厚生医療センター 責任者 中川 拓 (呼吸器外科・科長)
宮城県立がんセンター 責任者 前門戸 任 (呼吸器内科・診療科長)
富山大学 責任者 林 龍二 (第一内科・診療副科長)
埼玉医科大学国際医療センター 責任者 小林 国彦 (呼吸器内科・教授)
金沢医科大学 責任者 栂 博久 (呼吸器内科・教授)
大垣市民病院 責任者 進藤 丈 (呼吸器内科・部長)
豊橋市民病院 責任者 鈴木 隆二郎 (呼吸器内科・部長)
市立四日市病院 責任者 池田 拓也 (呼吸器内科・部長)
自治医科大学 責任者 萩原 弘一 (教授)
小牧市民病院 責任者 小島 英嗣 (呼吸器内科・部長)
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第2回PEOPLE-J班会議(2014年3月7日 金沢大学附属病院4階会議室) |
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